ふらっと入った地下道を通る。

道も分からないのでただ指示看板に沿って歩く。

なんか見慣れた文字が見えたのでとりあえずその方向へ。




ただ、思い出しながら。

歩く。



苛立ちを隠せない。

何となく奴の気持ちが分かる。

この街は奴には合わなかったという事も。

思えば、ここには初めて来ただけなんだけど奴の辛さが分かってくる。

この街は…下品だ。

彼の好きな池波文学があるところではない。

どう評価しようとしてもそう感じる。

歩きたばこ、路上のごみ。

見るに堪えない。



街に飲まれたか、会社に飲まれたかは分からんが…

あいつにはこの地は無理だと思った。

あたしも、この地は無理。

通り過ぎるだけならいいが滞在までしたくない。

あいつはほんときつかったんだろうな。

不思議な思いで周囲を眺めていた。

やっぱり無理だね、ここ。