なんとかお仕事の撮影を終えた。

敗北感いっぱい。

撮影している最中に何か引っかかるものがあった。

いや、今でも。

ぼや~っと、風呂に入りながら考えて思い出した。

これって…

この道はいつか来た道だ。

あれと一緒だ。



家に帰りたくない道。

どうしても足が重くなる家。

そして嫌な空気。

間違いなくあれだ、あれ。



そう、あれはあたしが経験した一番の恐怖。

一番のプレッシャー。

あの空気と一緒だった。

何を言っても「正論」で返答される。

空気が作れないもどかしさ。

冷酷な視線。

汚物でも見るような感じ。

上から目線。

絶対に妥協しない態度。

常に自分という空間から離脱しない力強さ。

鉄の意志。

あれと一緒だった。

だから、変な呼吸と心臓の鼓動。

ある意味でPTSDなのかもしれない状態に陥ったのだ。



黒い世界が支配して行く。

ただ、怖かった。

そんだけ。

RIKONというものと戦った時に疲れた空気と一緒だった。

あの時が蘇った。

それは思い出してはいけない記憶。

ただ、自分に敗北した。

それだけ。

だけ。

もう、二度と味わいたくない経験が容赦なく出てきた。

それだけ、ただ、それだけのお仕事でした。